霧縛りの職工

日々のとりとめのない事をちょっとずつでもアウトプットしていきたいですね

GODZILLA についての回想録

KOM じゃないです。いわゆる アニゴジ の方。 大体 KOM の前振り。 記事としての公開が KOM の視聴に間に合わなかった。。。 なんだかんだ三部作全て映画館で観れたのはよかった。

TL;DL

賛否はある様だけれど三本観た感想としては あり だった

全部観るとテーマ性がはっきりするタイプ

興味があるなら三作観るつもりで観始める事を前提ならオススメできる

作品概要

通称アニゴジ。シリーズ初の長編アニメーション作品。

godzilla-anime.com

製作はポリゴン・ピクチュアズ。 監督は二名で、一人は劇場版名探偵コナンで7本、他に劇場版シドニアの騎士でも監督を勤めた静野孔文、一人はポリゴン・ピクチュアズから瀬下寛之が当たっている。

アニメファンとしてはワンチャンス監督よりも有名な可能性があるのが脚本で、ニトロプラス虚淵玄。 ゲームシナリオとしては所属会社から五本を担当、近年ではアニメーション業界に進出して 魔法少女まどかマギカPSYCHO-PASS が人気作として名高い。 彼の作風を知るファンはどんなゴジラにするつもりなのかと期待をしつつも気を揉んだとか揉まなかったとか。

ハリウッドの新シリーズ、通称ギャレゴジの第二作である、 GODZILLA KING of the Monsters の公開に先駆けて AmazonPrime で過去作が一斉に会員無料になる中、一作も無料になってない。 せめて怪獣惑星。。。

ネタバレ度

各作品の構成・核心に十分触れる。 ネタバレは要素に留めたいという人は閉じよう。

作品群について

メインは映像作品だがメディアミックス作品も出ている。 深夜枠のフル 3D アニメーションシリーズ、シドニアの騎士で「今の日本のテレビアニメーションシリーズでどこまでフル 3D の良さを出せるのか」を示したポリゴン・ピクチュアズが製作を担当する三部作である事が当初から発表されていた。

映像作品

怪獣惑星

2017/11 公開。 主人公達の背景を含め、本シリーズにおけるゴジラの有り様を示す第一作。

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決戦機動増殖都市

2018/05 公開。 墾田永年私財法並みに語感が良いサブタイトル。 ポスターは第一作で存在を匂わせていたメカゴジラの頭部が映る。

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星を喰う者

2018/11 公開。 三筋の黄色いエネルギーというモチーフからしキングギドラが出る事は予想しつつも、第二作を経てまぁまともな怪獣としては出ないんだろうと理解していた所からのこれ。

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書籍

映像作品の前日譚になる書籍が2冊出ている。

出来は良く、しかも過去のゴジラシリーズを踏まえつつ本編の前提になっているので必読との評を見るのだけれど自分自身は読んでいない。 各サブタイトルが映像作品の二作に対応している様に思えるので、なんとなくこちらも三作予定だったのが企画が短縮されたのではと勘ぐっている。

遠未来系のゴジラって初じゃないの?

構成として本作最大の特徴は、ゴジラを含む怪獣群に人類が敗北している所から始まるという時代背景にあるのではないだろうか。

怪獣の襲来に合わせて二種族の異星人が地球に来訪し地球人類に協力したが、抵抗虚しく宇宙移民船による脱出を選んでいる。 主人公のハルオは幼少期に恒星間移民船アラトラムで地球を脱出した地球人類の一人であり、脱出時に両親と死別、ゴジラへの復讐を誓っている。 三部作は一貫して地球における人類の復興を目指すハルオと、生態系の頂点に君臨するゴジラの相対的な関係を軸に描かれる。

冒頭

三部作はアラトラム移民第一次計画の失敗から始まる。 移民船内の体感時間としては22年が経過しており、船内人口も減少、市民は疲弊し危険を承知での移民計画敢行だった。

この失敗を受け、人類は怪獣が跋扈している環境が変わっている事を期待して地球への帰還を試みる事になる。 ここでポイントになるのが地球の時間経過。 恒星間移動を伴う SF によくある設定として、高速で移動する宇宙船内の人々と母星の人々との時間経過のズレがある。 本シリーズにおける移民船団の22年に対し、地球の経過時間は約2万年。 地球の生態系はゴジラを頂点としてその眷属が蔓延るものに変わり果てている事が判明する。

ゴジラを打破する作戦を立案したハルオを含む戦闘部隊が地球時間2万年を経て最強の生物として熟成したゴジラを打倒し、人類の生き残りを地球に植民できるのかどうかが物語の最初の焦点になる。

印象

公開時の背景

アニゴジを観るにあたって避け難いのが シン・ゴジラ (2016/07) だろう。 三部作の一作目公開前にぶつけられたのは製作としては大分きつかったのでは、と思う。 前シリーズから随分と間を空けての日本産ゴジラで、あのヱヴァンゲリオンの庵野監督が成功をぶち上げているときている。 アニゴジを観る人でシンゴジ観てない人はほぼ居ないのではという状況からの、第一作ローンチだった。 それを踏まえて、時系列に劇場で観た印象から述べていきたい。

劇場での印象

怪獣惑星

3D アニメーションかつ遠未来系という事もあって ゴジラ としては新奇性は感じられたというのが率直な感想。 人間 vs ゴジラの構図の中、SF 的な兵器群を利用して ゴジラ の討伐を達成する過程は悪くなかったはずだ。 人類から見て22年前の戦闘の情報ありきではあるが、主人公が立案した計画が遂行され ゴジラ の討伐が果たされる過程はそれなりにインパクトがある。 しかし主人公たちが倒した22年前と同程度の大きさの ゴジラ は地球時間2万年の間に生まれた子供だった事が討伐後に分かる。 ゴジラ・アース。一作目最後に現れる2万年を生きたゴジラだ。 生態系の頂点として君臨するに至り、その巨体はシリーズ最高の 300 メートルを超えている。

三部作の第一作として公開された本作のシリーズにおける立ち位置はいわゆる 初代インスパイア 。 三連作を前提とする企画ならこの構成はとても自然なのだけれど、先んじて シン・ゴジラ が公開されてしまっている以上そことダイレクトに比較される事は避けられない。ここが本作としては1番のツラミだったのではないだろうか。 シンゴジの方の 人間 vs ゴジラ としての完成度が純粋に高すぎる壁だった。

決戦機動増殖都市

メカゴジラである本作だが、ある意味で新しすぎる奇抜な怪獣として登場した。 ゴジラを模した形態では 現在 には現れないというのが一つのポイント。 本作ではそもそもが異星人が持ち込んだ機械工学・演算技術を取り込み作り上げたナノマシンの群体という設定だった機体だが、その起動は地球時間2万年前の戦いで失敗、そのままゴジラ放射線に胴体部を破壊されていた。 作品内ではメカゴジラを製造した都市の複製として群体が成長を遂げている。 これが決戦機動増殖都市メカゴジラシティである。 製造の中心であった異星人ビルサルドを中心として兵器として再起動を果たしたメカゴジラは要塞と化してゴジラと対決する。

メカゴジラ=メカゴジラシティの都市と言ってしまえる巨大ささえ利用した決戦の光景は面白いのだけれど、これを一作目に持ってこれればという残念さはあった。 ちょっとくらいちゃんと メカゴジラ として戦わせても良かったのでは?

本作では少しモスラが顔見せをする。 成虫は地球人類の脱出後にゴジラと戦って敗北しており、卵を残すのみである。 卵を信仰するフツアという人型の眷属が地球で暮らしていて、ハルオを含めた移民船団のメンバとの交流がある。

星を喰う者

この一作によって三部作としてのテーマがはっきりする。 個々の怪獣がどうこうではなく怪獣全体を概念として人間性と相対化してる。 怪獣性とは何か。 人間性とは何か。 ギドラとゴジラの対決、そして人類の決断を通してハルオが見出した人間の在り方を示すのが本作の役割だ。

虚淵作品ではいろんなものがよく概念になる。 作品のテーマの具現という意味でだけれど、これが全体を通して一貫したテーマになるのでよくできている。 何種類かの人類とそれに相対する怪獣の関連を通してテーマを演出するのが アニゴジ だったと得心がいき、満足を覚えた。

ちなみにギドラは本作においては、外宇宙というか高次元からの来訪者だ。 姿としてはその表出である三つ首のエネルギー体としてしか現れない。 この三つ首の姿はちょっとかっこいいのだけれど、協力者 がいなくなった後は一方的にゴジラにボコられるのがちょっと情けなくも見えた。 企画の意図として一貫して怪獣対戦をやるつもりはなかったというのは明らかだったのだけれど、やはり巨大な怪獣が数体出ていてその対決がテーマの添え物になってしまうと、あれ、という感じが出るのは致し方ないのかと思う。

通して観たときに

本作のポイントは人間性と怪獣性を相対化する事にあったらしいというのは前項にも書いた通り。

アニゴジにおける怪獣とは何かと言うと、人類 が発展した後に必ず生み出される上位存在と位置付けられている。 ある種の宿命的な存在だ。

ゴジラ・アースは完全に星を納めてしまうまでに成長した怪獣性で、人間は絶対に勝てない存在として一貫して描かれている。

メカゴジラはビルサルドに対応する怪獣性だ。 ビルサルドは怪獣を生み出す前に母星を失ってしまった人類で、機械工学に秀でた合理性の権化、作中でも異種族と判断の合理性を問う場面での対立がよく描かれる。 怪獣を打倒するなら自らを怪獣とする事を厭わない性質が現れたのが決戦起動増殖都市だ。 ビルサルドは最終的にナノマシンに取り込まれて種族をメカゴジラと合一させる事でゴジラに勝利しようとする。 ビルサルドは生態系の頂点に再び立つために自ら怪獣になる事を選んだ訳だ。 「人間のままでは怪獣には勝てない」、「怪獣に勝てる人間は既に人間ではない」、説得を受けるハルオだったが都市の中枢を破壊しメカゴジラを停止する事を選ぶ。 それまでゴジラの打倒を計画・推進・主導してきたハルオ怪獣を打倒するという人間としての意思をここで示す事になった。

ギドラはエクシフに対応する怪獣で、エクシフは神と仰いでいる。 未来予測さえ可能にするエクシフの演算技術が高次元を観測にした時、ギドラに辿り着いた。 怪獣に献身を捧げる事を信仰としてしまった彼らの正体が現れるのが星を喰う者だ。 食われる事でギドラと合一するという事が目的にあり、ビルサルドの怪獣化と似て非なる到達点になっている。 実は文明の大部分をギドラに捧げており、残った宗教家達が宇宙を旅して異星の怪獣と人類を供物として自分ごと捧げるために旅をしている。 エクシフの企みは三部作で一貫して地球人類とその産物であるゴジラを供物とするため秘密裏に遂行されている。 メカゴジラの起動を決戦前に阻止していたのは演算技術を提供していたエクシフだ。 移民船の移民計画が失敗するよう工作していたのも彼ら。 代表であるメトフィエスはハルオをゴジラに立ち向かう英雄としてギドラに捧げようとしていた。 ハルオは地球人類の継続を選びメトフィエスと決別し、最後にはゴジラによるギドラ打倒を望む事になる。

モスラはフツアに対応する怪獣だ。 フツアとテレパシーで意思疎通を行いながら共存している。 成虫はテレパシーの中のイメージとして出るだけだが、この怪獣性との共存という在り方がハルオの最後の決断に繋がる。 星を喰う者では、ハルオとメトフィエスの対話の中でハルオを助ける役目を果たしている。

作品内で怪獣性というテーマに焦点を当てながら三作を観直してみるとまた違った視座が得られるだろう。

総評

怪獣対戦モノとしてみると物足りないのは確かだけれど、フル 3D アニメーションとしてはそれなりに見所がある。 シナリオ・構成も意味があり悪くない。 三作通して観ることで見えてくる部分がある。 今から見るなら纏めて観るのがオススメだ。

反省点

草稿としての Mindmap はそれこそ一時間程度でできたのだけれど、節と節を繋いで文章にまとめるまで間が空いてしまった。 出来上がった文章量を見てもやや重すぎかもしれない。 不要な部分をもう少し削れたはず。。。

下書き

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アニゴジメモ